私ながらの旅の流儀「徳島散策 2019年版」
ひとり旅には私の流儀がある。「計画を立てすぎないこと、偶然に期待すること」「ホテルではなくホステルを選ぶこと」「関心がなかったことを何かひとつ学ぶこと」「地元の人たちと交流すること」そして「その後の仕事に有形無形に役立てること」。 2019年12月の徳島への旅もこの流儀に従った。
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「計画を立てすぎないこと、偶然に期待すること」行き当たりばったりの無計画の旅。事前に決めておくことは、徳島への到着時間と出発時間、宿泊先だけ。初めて来た徳島駅をまずは歩く。どこからかピアノ演奏が聞こえてくると、その方向へと進む先を変える。旅行者を歓迎してくれたのは STREET PIANO。
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徳島駅から出て街を歩き出した。ホステルは駅から少し歩いた所にある。新しいものと向かい合った時「類似と差異」をまず読みとる。12月の徳島の空気に驚いた。南国を感じさせたのは空気だけでなく、広い街路からも。明日の計画はホステル到着後に立てよう。良くも悪くも「思い出」ができればいいので。
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「ホテルではなくホステルを選ぶこと」ホステルを選ぶ理由は安いからだけではなく、ラウンジ(旅行者が集まれるスペース)で、他の旅行者やペアレント(施設管理者)と交流できるからだ。このホステルは若い外国人旅行者が多く、旅行者というより徳島に「暮らす」彼らは、ミニマリズムに徹していた。
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オーストラリアから来日し四国のお遍路をしているという旅人は、ラウンジ脇キッチンにスーパーのタイムセールで買ったきた食材を並べ、夕食の調理を始めた。ミニマリズム、豊かなものを求めるのではなく、必要最小限までに省略するライフスタイルを、この旅人から、ここ徳島の「住人」から学び直した。
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「関心がなかったことを何かひとつ学ぶこと」ラウンジのソファーで「徳島市 散歩」と検索すると、「阿波十郎兵衛屋敷」を見つけた。徳島駅からバスですぐに行ける所にあり、毎日「阿波人形浄瑠璃(じょうるり)」を上演しているとのこと。今まで縁のなかった人形浄瑠璃を明日は見ることにしよう。
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「母を探しています」という娘が偶然訪ねて来たのに、自分がその母であることを伝えることができない。すぐにも母だと名乗り、抱きしめたいのに・・・。「傾城阿波の鳴門」巡礼歌の段の泣かせる場面だ。ひとつの人形は 3人によって演じられ、脇には義太夫と三味線の 2人、計 8人による人形芝居。
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「帰りたくない、なにやら母のように思われる。ここに置いて下さい・・・」
展示室では地元のボランティアさんが、手作り感満載に説明してくれたのも嬉しかった。徳島の人々は何百年もの間、自然に寄り添う暮らしの中で、どこにも増して人形浄瑠璃という芸能を大切にしてきたそうだ。
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「地元の人たちと交流すること」旅先では撮影だけを優先してしまい、誰とも話さないままになりがちだ。地元の人と交流したいと思い、徳島駅のひとつ手前のバス停で下車した。西日さす商店街を歩いていると、「まちなかデザインラボ・とくしま建築学生スタジオ」を見つけた。面白そうだ。入ってみよう。
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建築科の学生さんにコーヒーをいれてもらう。私は旅行者としてではなく同志として、建築家を目指すおふたりと(彼らには迷惑だったかもしれないが)、長く話し込んでしまった。おふたりは大学2年生とのこと、私との年齢差は35才。建築に対する想いをお互い共感できたのが、何よりも嬉しかった。
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学生さんと別れるとホステルに戻った。徳島発の深夜バス発車時刻は22時過ぎ、新宿には翌朝6時に到着する。それまでホステルのラウンジで待たせてもらう。ラウンジで仲良くなった旅人が「夜の徳島を案内したい」という。夕食も付き合ってもらうことになり、思い出がもうひとつ増えることになった。
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この旅人の出身は東京だという。関東から徳島に出張に来て、ここに徳島が気に入り根付いてしまったという。彼の知識の広さには脱帽した。私はといえば建築の話しかできず、知識をもっと増やさないとと実感した。知識を増やすためには、たくさんの人たちと交流することに尽きるのだろう。いつの時代でも。
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「その後の仕事に有形無形に役立てること」この旅で学んだことをその後の仕事に繋がるようしたい。目に入ってくるもの全てにではなく、心の琴線に触れるものに対し、取材するようにたくさんの写真を撮り、メモを取りながら歩いたのは、いつの日にかアウトプットするためだ。
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この徳島の旅で得たもの、出会った人たちから学んだことを、すぐに仕事に活かすことは難しい。まずは自分の感じたことを、記事にして他者の目に触れられるようにしておくこと。私が楽しかったこと、私が学んだことが、いつの日にか誰かのために、有形無形に役立つことを願う。
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